ペットボトルに人の絵と特定保健用食品と記載されたマークや機能性表示食品と表示されている商品をみかけるようになりました。お茶などは、1日にどのくらい、どのようなタイミングで飲みましょうといった利用方法などがかかれ、医薬品なのかな?と感じてしまうこともあるかもしれません。
今回は、トクホとはなにか、機能性表示食品とはどうちがうのかといったことについてご紹介します。
欧米で肥満の問題がとりあげられるようになった1984年ころ、日本でも健康志向が高まり始めました。すると、健康意識の強い消費者を狙って怪しげな健康食品やサプリメントを売る業者が出てくるようになりました。そこで国は国民に健康被害が出ることを懸念し1991年に国の審査によりその食品に含まれている成分の機能性や安全性を認め、体調節機能を十分に発現できる食品であるということを保障する制度を設立することにしました。
それがトクホという制度の始まりです。審査は消費者庁がおこない、審査を通過したものにトクホのマークをつけ、一般販売できることになりました。#具体的な審査方法消費者庁からトクホの許可をもらうために、メーカーはまず販売したい商品に含まれている成分やその有効性を消費者庁へ申請します。
その後消費者庁は提出された商品サンプルやデータをもとにさまざまな分野の専門家へ審査を依頼します。審査中に専門家から出た質問や疑問、不明点は全てメーカーへもどされ、メーカーはその回答を消費者庁経由にて専門家へ戻すというやり取りをします。
メーカーと専門家とのやり取りは疑問点がすべてがクリアになるまで行われ、全てクリアとなった時晴れてトクホとしての販売許可がおりるのです。もちろん審査には臨床試験も含まれます。そのため審査内容や基準はきちんとしたものであり、消費者にとって体への安全性は保障されるものの、メーカーにとってはトクホを取得するためにとても長い時間が必要となります。
たとえばサントリーはお茶の伊右衛門でトクホ申請をし、取得までに5年かかっています。
お茶などのペットボトルにトクホのマークではなく機能性表示と書かれたものを見たことがあるのではないでしょうか。
トクホのマークが一般的に知られるようになった後2015年から機能性表示食品の制度が始まりました。(参考元|機能性表示食品|薬事法ドットコム)
他にも栄養機能食品という表示の食品もあります。トクホ、機能性表示食品、栄養機能食品は全て体に有効な成分がはいった食品という意味では同じなのですが、それぞれ食品に入った成分の効果を保障する責任の所在や審査機関がかわってきます。
トクホはメーカーからの申請により消費者庁が臨床試験も含め審査し保障するのに対し、機能性表示食品はメーカーが成分の有効性を調べた研究結果や論文があれば、それをもとに消費者庁へ申請するだけで、メーカーの責任で機能性表示ができます。
栄養機能食品に関しては、科学的に証明された有効成分が一定量入っている食品であれば、国への届け出をする必要もなく機能性を食品に表示することができるのです。同じお茶で同じ値段でトクホのマークが入ったものと機能性表示が入ったもの、栄養機能の表示が入ったものがあった場合、有効成分の効果に対する信憑性はトクホが一番高いということがわかりますね。
トクホ商品にはどのようなものがあるのでしょうか。公益財団法人日本健康・栄養食品協会の資料によると、おなかの調子を整えたい、コレステロールが高め、血圧が高め、骨の健康が気になる、歯の健康が気になる、血糖値が気になる、血中中性脂肪が気になる、体脂肪が気になる、肌が乾燥しがちといった症状に対して効果がみられる成分のはいった食品に対して審査をしトクホのマークを認定しています。
お腹の調子を整えたい場合は食物繊維や乳酸菌を主体とし、トクホのマークが入った商品ということでヤクルト400などがあります。コレステロールを下げるトクホの食品といえば伊藤園のカテキン緑茶、血糖値を下げる効果があるトクホの食品ではコカ・コーラから発売しているからだすこやか茶Wがあります。
中性脂肪が気になる人向けに作られたトクホの製品といえば、花王が販売しているヘルシア緑茶があります。ヘルシアには茶カテキンが多く含まれています。茶カテキンが食事の際の脂肪や糖の吸収を抑え、さらに脂肪を分解し消化を助ける酵素の活性化を高めます。
つまり中性脂肪が減りダイエット効果が得られるというものです。
トクホのマークが表示されている食品は一般の食品よりも体を健康に保つために有効な成分が含まれてはいますが、医薬品ではありません。トクホの食品を取ることにより病気が治るということはないものと考えておいた方がよさそうです。
トクホは食事でだけでは健康に不安を感じる健康な人が予防的に利用するものといった程度で考えておきましょう。病気があり、治療が必要な場合は、トクホに頼るのではなくまずは治療を受けることを優先にしましょう。国が保障している商品なので安全性が高く効果もあるはずと過度に期待しすぎて、適量とされている量よりも多く飲みすぎてしまう、食べ過ぎてしまうと体にとって逆効果となることがあります。
たとえば難消化デキストリンという成分はとりすぎるとお腹ががゆるくなることがあったり、高濃度カテキンはとりすぎると肝障害を起こす可能性があります。トクホの商品を摂取する際は、摂取量や効果的な摂取のタイミングなど記載されている利用上の注意を守るようにしましょう。
トクホはあくまで商品を選ぶときの判断材料の1つです。トクホの食品をとれば中性脂肪が減るというわけではなく、中性脂肪が気になるようであれば、あくまでも主体は、中性脂肪を減らす食事をとることなのです。そのうえでトクホの食品を補助的にとると効果が高いということを消費者が理解しておく必要があります。
トクホのマークは円の上に両手を上にあげた人の形が描かれています。両手を上にあげ広げている様子が英語のKの文字にもにているので、OKとあらわしているのかな?と考えたりもしましたが、実はこのマークは健康(KENKOU)のKを形にしたマークなのです。
白地に黒のデザインが基本ですが、メーカーによりピンクの地に白のマーク、ゴールドの地に黒のマークといったものも出てきています。メーカーごとにデザイン性を重視しマークを表示しているようです。
トクホのマークがあるお茶と機能性表示が記載されたお茶が販売されていた時、トクホのマークがあるお茶の方が値段が少し高いことがありますよね。それは十分な審査と成分の有効性が保障されたものだからということがわかれば、少し高くても機能性表示のお茶ではなくトクホのマークがついたお茶を買うこともあるでしょう。
商品を購入する際は、表示内容を理解し自分に必要な商品が買える賢い消費者でありたいものですね。