機能性表示食品は機能性表示ができる食品として注目されています。様々な成分を使用している機能性表示食品が登場してきていますが、鉄を使っているものはないかと探してみた人もいるでしょう。しかし、いくら探してみても見つからずに困っているかもしれません。

なぜ鉄を成分とする機能性表示食品は存在していないのでしょうか。

ペットボトルにあるトクホと機能性表示食品の表示これって何が違うの?

鉄は成分として魅力的

機能性表示食品の成分として鉄を使っているものがないかと探す人は大勢います。鉄は成分として魅力が大きいため、昔からよく注目されているからです。鉄は人にとって必須のミネラルとして知られていて、血液の主成分の一つとなっている赤血球を作るのに必要とされています。

赤血球は血液を通して酸素を運んで組織に届け、各組織から不要になった二酸化炭素を回収する役割を果たしています。赤血球の数が減ってしまうと貧血に悩まされやすくなることや、赤血球に異常が発生すると貧血になるのも事実です。

鉄の摂取量が不足していると鉄欠乏性貧血を発症することも医学的にわかっています。そのため、貧血に悩まされている人にとって鉄の摂取は欠かせないものという認識が一般的に広まっています。

女性が月経を迎えるときや妊娠して赤ちゃんの分まで血液を作らなければならないときには、普段よりも鉄が必要になります。このような時期に貧血で苦労する人も多いため、鉄の補給に利用できる食品も多数開発されてきました。

気軽に鉄を補給できるようにサプリメントも生み出されてきましたが、飴などのお菓子を開発したり、日常的に食べられている加工食品に添加したりしているケースも少なくありません。このように鉄に対する注目度が高いからこそ、機能性表示食品を探したいという人が多くなっています。

鉄は栄養機能食品の成分として認められている

鉄が機能性表示食品の成分として利用されていない理由として最も大きいのは、栄養機能食品の成分として認められているからです。日本の食品の機能性表示制度では健康食品という枠組みの中に保健機能食品として特定保健用食品と栄養機能食品を定めています。

栄養機能食品とは栄養成分の機能や表示をすることが認められている食品のことで、特定のビタミンやミネラルを一定の範囲内で含有している食品なら栄養成分の機能を表示可能です。鉄は栄養機能食品の成分として認められていて、「鉄は、赤血球を作るのに必要な栄養素です。

」と表示できます。企業が機能性表示食品の届出をするのは、使用している成分の機能性を表示して消費者に理解してもらうことが目的です。その表示内容に期待を抱いた消費者に意欲的に購入してもらいたいと考えています。

しかし、鉄については機能性表示食品の届出をしなくても機能性表示ができるので、あえて届出をする必要がありません。機能性表示食品の届出には科学的根拠を集めるなどの手間もかかり、受理してもらうまでに期間もかかります。

企業にとってメリットを見出せる部分がないので、機能性表示食品の成分として鉄が使われていないのです。

機能性表示食品には鉄が含まれていることはある

機能性表示食品には機能性成分として鉄を明記していることはありません。しかし、機能性表示食品の中に鉄が含まれていたり、添加されていたりすることはあります。もともと使用している食品の中に鉄が含まれている場合もありますが、表示している機能を発揮させるために鉄が有効と考えて添加しているケースも少なくありません。

鉄は赤血球を作るための重要な成分で、不足していると全身の酸素不足による代謝の低下が起こるリスクがあります。機能性表示食品を選びたいと思う人は体調に不調を感じている場合が多く、その根本原因が酸素の不足や代謝の低下の可能性もあるでしょう。

総合的に改善すると消費者にとっては喜ばしいと考えられるため、少量の鉄を添加しているケースもよくあるのです。

鉄は様々な食品に含まれている

機能性表示食品では意図して鉄を添加している場合もありますが、もともと鉄は様々な食品に含まれています。レバーのようによく知られているものもありますが、あさりや大豆、小松菜やホウレンソウなどの鉄の含有量も比較的多めです。

機能性表示食品には栄養バランスに気を付けた食生活を送るように注意喚起をする文を表示する必要があります。その考え方の通りで、食生活を見直せば鉄は十分に必要量を摂取できるようになる可能性があるのも事実です。

機能性表示食品に含まれている機能性成分の多くは、通常の食生活では作用を期待できるほどの摂取量にするのが難しいものが多くなっています。その含有量の高さを独自性として機能性表示食品を開発している傾向もあります。

ありふれている成分だからこそ鉄を機能性表示食品の中心成分として活用しようという動きが起こっていないとも考えられるでしょう。

機能性表示食品にこだわらないのが大切

鉄の機能性表示食品を探したいという人が多いのは、機能性表示食品の表示内容には科学的根拠があるからです。届出をするときには科学的根拠を集めていて、消費者にもわかりやすいように内容をまとめています。鉄には様々な機能があるという学術報告もたくさんあるため、機能性表示食品として特定の機能を表示した食品を見つけたいと考える人も多いのです。

あまり知識がない人にとっては、ネット上の口コミやブログでの説明などを見て本当のことなのかどうかを判断するのは困難です。鉄の機能性表示食品があれば確かな作用を期待して食べられると考えられています。ただ、栄養機能食品の成分として鉄は認められているので、一日に必要な鉄を食品を通して簡単に摂取できるようにすることは難しくありません。

栄養機能食品の場合には赤血球を作ること以外の表示はできませんが、そのための必要量は摂取できる食品に仕上げられています。もし期待したい機能があるのなら、栄養機能食品をしばらく摂取して効果があるかどうかを見てみるのも良い方法でしょう。

上限摂取量を守っていれば健康に悪影響が生じることはまずないので、積極的に試してみましょう。

鉄の摂取方法はよく考えよう

機能性表示食品として鉄を成分にして売りに出している製品が現状として存在しないのは、届出をする魅力があまりないからです。競合他社との競争力にならず、栄養機能食品の成分として認められているからです。しかし、鉄を使用している機能性表示食品もあります。

栄養機能食品も含めて考え、鉄の摂取方法は十分に検討して決めるようにしましょう。